はじまりの物語

ある日、離れて暮らす祖母が「もう使っていないのでせっかくだから使ってほしい」と古い帯を送ってきました。


どう使ってもよいと言うので、私は思い切ってハサミを入れ綺麗なところを切り取りテーブルセンターなどの小物を作りました。思いのほか洋風だった家にもよく馴染み、その空間がとても華やかになりました。

その事を祖母に報告すると「えっ…」と一瞬戸惑ったような間をおいてから「もう私は使わないからどう使ってくれてもいいよ」と言ってくれました。

それを聞いて、私は帯にハサミを入れたことをとても後悔しました。


もしかしたらその帯は、祖母の大事な人からの贈り物だったのかもしれない。

もしかしたらその帯は、祖母が少しずつお金を貯めてやっと手に入れた高価なものだったのかもしれない。

その帯ひとつひとつに持ち主の想いや大切に扱われてきた歴史、物語があると気がつきました。


そこで私は考えました。

祖母の想い、持ち主の想いを汲んで、帯にハサミを入れずにそのまま1本を使い何かにできないものかと。

まだ切っていなかった祖母の帯を取り出し、表を見て裏返し、ひねったり丸めてみたりしました。

そうだ、折り紙のように折って、傷がある見せたくない部分は隠し、美しい文様を表に出してみよう!


そうして生まれたのが、「ORIOBI」です。

作家紹介

白幡 磨美

祖母から譲り受けた古い帯をきっかけに「ORIOBI」の活動を始める。

アートプロジェクト『CANBIRTH』(旧有賀写真館ビル・銀座)、4人展『結 -connection-』(The Terminal Kyoto・京都)、個展『縁 -gratitude-』(庵町家ステイ・京都)などに参加。

現在は日本の伝統的な美しさを伝えるため、冠婚葬祭向けの記念装飾品《想い帯》制作やワークショップ、作品を基にしたミニチュアアクセサリー創作などの活動を行っている。

※ORIOBIは白幡磨美の登録商標です。
※ORIOBIに関わる著作権、及びその他一切の知的財産権は当作家に帰属します。